皇室典範改正の動きに合わせて、またぞろ皇位継承が噂されている。いわゆる女性天皇、女系天皇ありきの意見が中心だが、すでに悠仁親王の皇位継承順位第2位が決まっているにもかかわらず喧しい限りだ。
背景に女性週刊誌などが「愛子天皇」実現を後押ししていることがあるようだが、あたかも男系天皇を維持することが国民の総意に反すると言わんばかりの論調にはつくづく呆れてしまう。
そもそもこうした流れを作ってしまったのは小泉純一郎元首相で、総理在任時代、皇室を継ぐべき親王の誕生が期待できないとの性急な判断から女性天皇、女系天皇、女性宮家の創設などを盛り込んだ有識者会議報告を受け入れたことが、今日の混乱を招いている。
憲法では、天皇は主権者である国民の総意に基づくものとし、皇位は世襲制によるものと定めている。女性天皇誕生を求める声があたかも国民の意思を反映しているものと一部マスコミが報じていること、皇室が維持されるなら男系天皇でなくとも構わないという女系天皇ありきの間違った主張がされていることなどをみると、もはやこれは日本の国柄や伝統的価値観へのあからさまな挑戦としか思えてならない。
加えて最も納得がいかないのは、国連がめざす男女差別撤廃の理念に対して「日本皇室がそぐわないから即刻皇室規範を改正すべきだ」という主張にすり替え、意識的に男系天皇継承に異議を唱えているという現実についてだ。
いうまでもなく天皇は国民統合の象徴である。常に国民に寄り添いながら国の存続・繁栄に思いを寄せている存在であり、そのために伝統的な「祭祀王」としての役割を担っておられる特別な存在でもある。
かつて安倍元総理は、「皇室問題については、畏れを知る心が大切だ」と言われていたと聞くが、この“畏敬の念”が急速に喪われつつある結果として皇統問題が軽々に語られる風潮があるとしたら見逃すことのできない大問題である。
竹内久美子氏は著書のなかで、『天皇としての仕事、女性としての役割の大変さを考えれば、「ジェンダー平等は普遍的な価値観、だから女性天皇もあり」とは、そう軽々しく言えないはずです。ジェンダー平等だから女性天皇もありという考え方の方が、人としての思慮深さに欠けているのではないかと思います』(「皇室論」方丈社刊)と述べているが、私も同感である。
最後にもうひとつふれておきたいことがある。先日、ユーチューブである対談を見た折、日本の皇統継承に関して、中国香港からのデマ情報発信がいく度も確認されているとの話を聞いた。主な内容は、今上天皇ご一家を不自然なほど褒め上げる一方、秋篠宮家をバッシングし、愛子天皇の誕生こそが皇統問題を正しく決着させる唯一の方法だと言わんばかりのデマ情報を流布させているというものだ。中国の狙いは日本の国論を分断して世情を不安定化すること、そのための情報戦の仕掛けのひとつとして皇統問題の利用が効果的だと踏んでいるに違いない。
だが、ことの起こりは我々日本人のなかにこそあると思う。「愛子天皇誕生」への期待で埋め尽くされた女性週刊誌の記事をはなから信じて疑うことがない。はたまた女性皇族をアイドル並みに見立てて“推し皇族”に走る。しかしその結果行き着いたところは、いかにも軽々しく皇室を貶めるような批判を平気で口にする昨今の風潮そのものといえる。この流れを断ち切るには、今日までの戦後民主主義の在りようについて抜本的にとらえ直す覚悟が必要と思うが、どうか?

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