イラン戦争と日本メディアの報道姿勢に疑問?

 イランが「親日国家」であるという報道を耳にするたびに、私は本当にそうなのかと疑問を抱く。

先日視聴したテレビ番組では、岸田文雄元首相が自民党の日本・イラン友好議員連盟会長として出演し、「イランは親日国家である」と強調していた。その背景として、出光興産の「日章丸事件」に触れていたが、調べてみると、当時の日本政府がこの事件に直接関与していた事実は確認できず、基本的には民間ベースの取引だったようだ。

 それにもかかわらず、あたかも外務省主導の外交案件であったかのような説明がなされていた点には違和感を覚えた。

 また、ある対談番組で元外交官が語っていた内容も印象的だった。彼によれば、「イランが親日的だったのは、革命前の王政時代のことであり、現在のイスラム革命体制とは切り分けて考える必要がある」という。

 現在の日本の大手メディアは、「イランとの友好関係維持は日本の国益にかなう」とする論調を比較的多く報じている。しかし一方で、日本政府や外務省内部に、第三次中東戦争以降、反米・反イスラエル的な傾向が存在してきたとの指摘については、ほとんど触れられていない。

 その結果、日本国内では「戦争被害国としてのイラン」というイメージが強調される一方、現体制の問題点や周辺諸国との緊張関係については、十分に共有されていないように思える。

 実際、イラン国内の人権弾圧や、アラブ諸国側の視点が日本で大きく報じられる機会は多くない。湾岸戦争やビンラディン事件当時には、中東メディアであるアルジャジーラの情報が頻繁に紹介されていたことを考えると、日本メディアの中東報道には、やや偏りがあるようにも感じる。

 また、ホルムズ海峡封鎖をめぐる米国とイランの対立は繰り返し報道される一方で、米国側が重視する「イランの核保有リスク」については、十分に議論されているとは言い難い。

 ある中東専門家は、イランの核保有について次の3点を懸念していた。

  1. イランが核兵器を保有した場合、周辺の過激派組織へ技術や物資が流出する可能性があること
  2. すでにハマス、ヒズボラ、フーシ派などへの武器支援が指摘されている以上、核拡散リスクも否定できないこと
  3. 革命体制そのものを「過激思想を国家化した体制」と見る立場からすれば、核保有が周辺国へ与える脅威は極めて大きいこと

こうした議論は、北朝鮮問題とも無関係ではない。

 国際安全保障の観点から見れば、核兵器開発につながる行為を抑止することは、現在の国際社会では一定の常識となっている。しかし日本国内では、その問題提起自体をためらう空気も依然として存在しているように感じる。

 もしこうした曖昧な姿勢が続けば、国際社会はさらに不安定化していくのではないか。

 最後に触れておきたい。本稿執筆中、シンクタンク理事長で評論家の櫻井よしこ氏が、北朝鮮の核増強問題に関連して、「独裁国家は核を手にすれば増強を続ける。トランプ大統領がイランに完全放棄を求めるのは正しい」との趣旨を述べていた。私もその点には一定の説得力を感じる。

                                           (了)

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