昭和30年(1955年)の保守合同によって自由民主党が誕生した。しかし、その後の高度経済成長期に入るなかで、自民党は本来保守政治の核心である「国防の自立」という理念を次第に失っていった。その結果、国家としての主体性だけでなく、国民のモラルも大きく低下していったと指摘されている。
戦後の日本には憲法第9条が存在し、さらに「専守防衛」という考え方が国の安全保障政策の基本理念として掲げられてきた。こうした戦後政治は、「戦後平和主義」と呼ばれる理念を基盤として展開されてきたが、その一方で今日では領土問題をはじめとする安全保障上の危機に直面している。この現実を踏まえれば、戦後平和主義がもたらした影響とその限界について改めて検証する必要があるだろう。
現在、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しい局面を迎えていることは明らかである。このような状況のなかで求められるのは、独立国家としての日本を守り抜くという確固たる覚悟を国民一人ひとりが持つことである。
そもそも、GHQ(連合国総司令部)が日本を占領する際には、「三つの日本」という構想が存在したとされる。第一に、日本を再び国際社会で台頭できない国家とするため、戦前からの主流であった保守勢力を「軍国主義」や「超国家主義」と位置付け、占領政策の柱として徹底的に排除したことである。
第二に、日本共産党を含む左翼勢力を保護し、占領軍を「解放軍」として受け入れたこれらの勢力を民主化政策推進の担い手として活用したことである。
第三に、中道勢力を左翼勢力の支え手として位置付ける一方で、保守勢力については東京裁判や公職追放などを通じて徹底的に排除したことである。その結果、「保守のいない国をつくる」という発想のもと、憲法改正ではなく憲法制定、教育改革、経済システムの再編、社会制度の整備などが進められたとする見方がある。
しかし近年では、国家の安全保障を担う勢力として保守政治が再び存在感を高めている。安倍政権や高市早苗首相を支持する層の広がりは、その一つの表れといえるだろう。国民が保守勢力に期待しているのは、本来の保守の矜持を持ち、国家の存立に必要な政策を必要であると明確に主張し、既存のタブーにとらわれることなく国民に訴え続ける姿勢である。
また、政治主導が重視される理由の一つには、統治の効率性という観点がある。国家を適切に運営していくためには、健全な価値観を社会に根付かせるとともに、国益を確実に守り抜くことが不可欠である。
そのように考えるならば、現在の保守勢力に期待される課題の一つは、マスメディアをはじめとする知的インフラの領域で影響力を回復することである。保守勢力は、戦後長らく歴史的な敗者の立場に置かれてきたことを真摯に受け止める必要がある。そのうえで、この状況をいかに克服するのかを戦略的に考え、時代の変化に対応した魅力ある政策や発信手法を確立し、実践していくことが求められている。

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